【感想】思考は現実化する/ナポレオン・ヒル著

引き寄せの法則
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本屋の自己啓発コーナーに行くと、ナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」が必ず置いてあります。有名な本ですが、分厚くて読む気になりません。信頼できる本なのでしょうか?

今回はナポレオン・ヒルの思考は現実化するを呼んだのでその感想を紹介します。

まず、この本は古典的な成功哲学の本です。
自己啓発がお好きな方にとっては
タイトルの「思考は現実化する」はおなじみなのではないでしょうか?

実は私は心理学の本を中心に読んでいたので
タイトルはずっとしていましたがずっと読んだことがありませんでした。

 

正直、この本には

「有名だけど胡散臭い」

というイメージがあり今まで少し遠ざけていましたが、
古典的で有名なものなので
一度読んでおこうと思い今回手にとってみました。

 

内容に関して要約すると、

「熱い情熱を持って、明確な目標をしっかりとイメージし、
 そこから逆算してやるべきことをやりましょう。
 そして、 たとえ一回や二回失敗したとしても諦めずに立ち上がって
 成功するまで粘り強く頑張れ !!そうすれば成功できる!!」

 

大体このような感じです。

確かに偉業を成し遂げた成功者の共通点を探ると
大体このような感じになるのではないでしょうか。

近年の心理学でGRIT(やり抜く力)という概念が
人生の成功を高い精度で予測すると言われているので
この本に書かれていることは大体は合っています。

しかし、 この本に関しては
いくつか問題もあるのではないかと思っています。

 

そこで今回はこの本についての問題を中心に
解説していきます。

・思考は現実化するが胡散臭く感じられている方
・自己啓発業界を怪しく感じられている方
・本当に人生をより良くしていきたい方

このような方にオススメですのでぜひ最後までお読みください。

 

目次

 

 

①思考はコントロールできるのか?

まず、この本全体を通しての疑問は、
思考がコントロールできることを前提に書かれている部分です。

例えば、

心で考え、できると信じたことは実現できる。

と一章の最後の所に書かれています。

確かに私もこのナポレオン・ヒル博士の意見にはある程度賛成です。

セルフエフィカシー(自信)が上がり、
本当に心の底から「できる!」という確信があれば
人はそれに向かって行動し続けることでできるようになるからです。

しかし問題は、
本当に心の底から「できる!」 と確信を持つことは
それ相応の知識や成功体験を必要とします。

結論そのものが正しいのですが、
そこに至るまでのプロセスがあまり丁寧に書かれていません。

あるとすれば、
繰り返し自分にはできるんだと潜在意識に
刷り込みましょうといったことや、
ただひたすら成功者のエピソードを紹介するといった感じでした。

・思考をコントロールすれば・・・
・思考の力を使えば・・・
・思考を使って強く確信すれば・・・

と思考の力について様々なことが書かれていますが
やはり思考をコントロールすることができることが前提のように感じます。

 

しかし、

はたして思考のコントロールなどできるのでしょうか?

実際にやってみましょう。

今から1分間思考を止めてください 。













無理ですよね?

1分どころか10秒もあなたはあなたの思考を止めることはできません。

 

・思考を正しく使えば上手くいく
・思考を上手くコントロールできれば成功する
・思考の力を最大限発揮すれば思い通りの人生を作ることができる

というのは確かに正しいです。

しかし、それは実際に難しいもの。

非常に難易度の高い難しいことが
あたかも誰でもできることのように書かれていることが
この本の良い面でもあり悪い面でもあると思います。

 

 

②意志・気合いの力を過大評価しすぎている

またこの本は人間の意志とか気合いの力を
過大評価しすぎているようにも感じました。

・諦めずに頑張り続ければ成功する
・弱気になっても前向きに行くんだ
・失敗を気にせず前に突き進もう

確かにこのようなメッセージには
励まされ役立つ人もいると思います。

確かに、少し心が弱った時などに
この本を読み返すことで初心に帰り
もう一度頑張ることができるようになることもあるでしょう。

しかし、現代の脳科学や心理学では
いかに人間の意思や気合いの力が弱く有限なものであるか
といったことが解明されつつあります。

なので方向性としては、
いかに気合いや意志や根性に頼らずに
コツコツとした行動を継続し続けることができるか?

といったものだと思いますが、
このような研究がある前の時代の本なので
少し時代を感じました。

 

 

③理想をリアルに思い描くことについて

この本の中では理想の状態を強くイメージすることを
何度も繰り返すことが推奨されていますが
これについては少し疑ったほうがよさそうです。

というのも、
メンタリストDaiGo氏も批判していましたが、

私たちがイメージするべきは理想そのものではなく
そのプロセスの方が目標達成率が上がるからです。

もちろんいくつかの論文だけで
簡単に断言できるようなものではないと思いますが、
実際に自己啓発セミナーなどに通って
徹底的に理想の状態をイメージした人のどれくらいの割合の人が
成功したかについてはよく考える必要があるでしょう。

ただ誤解していただきたくないのは、
理想の状態を完全にイメージしてはいけないということではありません。

ある程度何度かは頭の中でしっかりとイメージし、
その状態を実現するために必要な戦略を考え抜く時期も必要でしょう。

理想の状態を完全に忘れてしまってはやはり良くないと思いますが、
目の前のやりたくないことをやらずに
イメージの世界だけで満足してしまうことにも
つながりかねないので注意が必要です。

 

【関連】メンタリストDaiGoさんが否定している引き寄せの法則は嘘なのか?

 

④タイトルだけが一人歩きすると誤解される

ナポレオン・ヒル博士は何も悪くないのですが、

「思考は現実化する」

というこのタイトルによって
自己啓発業界では、実際の行動よりも
頭の中の思考やイメージの力ばかりが
フォーカスされることが多いように感じます。

 

・ただ強く願っていれば望みは叶う
・強く思考し明確にイメージできれば勝手にやってくる

などとはナポレオン・ヒル博士ご自身は一言も言っていませんが
本のタイトルのイメージが先行することで、
思考やイメージの力さえ使いこなせていれば、
後はもう自動的に理想は実現すると思っている方も少なくないように感じています。

私たちは頭で理想をイメージするのは
楽しいのでみんなになりたがるのですが、
実際にそれを実現するための行動をし続けるとなると話は別です。

理想の状態を実現するために必要な行動は地道なもので、
実際には大量のやりたくないことをやる必要があります。

私を含め、そんなやりたくないことはやらずに
成功を手にしたいというのが本音だと思います。

 

そのような願望が心の内にあるからこそ、

強く考えるだけで、
強く念じるだけで、
強くイメージするだけで、
あなたは努力することなく自動的に目標を達成できてしまいます!

というメッセージが魅力的に聞こえてしまうのです。

 

ナポレオン・ヒル博士ご自身は、
行動や努力や工夫の大切さを繰り返し言っているので
何も悪くありませんが、

「思考は現実化する」

というタイトルだけが一人歩きしてしまうことで
この本を怪しく感じられる方もいるかもしれません。

 

 

⑤分析対象が成功した人だけ

もう一つこの本の問題点をあげるとしたら、
実際に成功した人しか取り上げておらず
成果が出なかった人についてはほとんど取り上げられていない点です。

大体このような成功哲学というのは、
本気でそのやり方を信じてやってみた人の内の
100人に1人~5人くらいが成功者になるのではないかと思います。

つまり残りの95人から99人は
それほど成果を出すこともなく終わってしまうというのが実情なのではないでしょうか。

ビジネスや自己改革とはそういう側面がありますし、
チャレンジすることそのものは素晴らしいのでそれ自体に問題はないと思いますが、

「この成功哲学さえ知れば誰でも成功できる!」

といった雰囲気が本書から溢れ出ていたので、
それについては少し冷静になる必要があるでしょう。

法則と言うからには、
本来はうまくいったケースも
うまくいかなかったケースも
両方ともしっかりと検討する必要があります。

その上で重ねられた研究でなければ
信頼できる結論は導き出されないでしょう。

ナポレオンヒル博士のやり方は科学的な手法ではなく、
非常に主観的な思い込みに左右されやすい調査方法と言えます。

時代的なこともあるので
決して批判しているわけではありませんが、
現在の我々はもう少し冷静な目で
ナポレオン・ヒル博士の主張を見る必要があるのではと思っています。

 

 

⑥エゴが強くなる

この本の中には、
「貢献しましょう」

といったことも書かれてはいますが
読めば読むほど個人の欲望が刺激されるように感じました

欲望を全て否定する必要はありませんが、

「社会的成功をして人よりも優れた特別な存在になること」

に取り付かれてしまうと真の幸福は得られません。

エゴが強くなってしまうことで
優越感を得ることができたとしても、
心の内側で深い平安を感じることができないからです。

もちろん読む人が読めば、
欲望が肥大化してしまうことはないかもしれませんが、
このような自己啓発系の本を読む際は気をつける必要があるかもしれません。

 

 

⑦ネガティブを排除しようとする

 

「弱気になるな!前向きに行こう!」

といったメッセージがこの本の中には
繰り返し書かれていますが、
このアイディアは諸刃の剣です。

もちろんこの考え方で
前向きに進んでいける人もいるかもしれませんが、
近年の心理学の研究(セルフコンパッションなど)では

「自分自身に対する優しさ」を育むことが大切と言われています。

 

また、自分の中に沸き起こる
嫌な感情に対しては、
瞑想などで距離をとることも有効です。

 

「明るく前向きに元気に!」

という結論はある程度正しいと思いますが、
そこに至るまでのプロセスが少し雑に感じます。

もともと強く気合いや意志の力だけで乗り越えられる方はいいかもしれませんが、
そうでない方にとっては燃え尽きてしまうこともあるでしょう。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回はこの本の問題点について取り上げたので
悪い印象を与えてしまったかもしれません。

しかし、冒頭でも述べたように
この本に書かれてることは
大きくは間違ってないですし、
自分を改善し成長するヒントは満載です。

何か魔法のような力が手に入ることを期待せず、
地道な努力が必要であるという前提で読むのであれば
この本から得られるものはかなりあるのではないかと思います。

 

何らかの気づきやヒントだったら嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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