私は自己啓発とかビジネス書が大好きなのですが、実際のところ効果はあるのでしょうか?頑張ってはいるけど、なかなか結果が出なくて不安です。
今回は「ビジネス書を読んでもできる人にはならない」という本を読んでその感想を共有したいと思います。
まず、ここでいうビジネス書はいわゆる自己啓発書のことです。
著者の漆原さんはビジネス書、
自己啓発書には懐疑的な立場をとっており、
自己啓発書を読んでも実際に年収が10倍になったり能力が高くなることはない
と言っています。
私自身が主に読んできた本は心理学の本が中心だったので、
それほどたくさんの自己啓発書というものは読んだことがありませんでした。
しかし、
それでも七つの習慣といった代表的なものや
引き寄せの法則、苫米地博士の本に関しては目を通しました。
また一度だけ、
とある自己啓発書をたくさん出版している会社の
無料コーチングを1時間だけ受けたことがあり、
更なる商品の購入を勧められましたがお断りした経験があります。
自己啓発で言われていることは役に立つところもかなりあるけど、
注意深く情報を集める必要があると昔から思っていました。
そこで今回は、この本の印象的だったところを
ピックアップしながら私なりの考えを述べていきたいと思います。
ビジネス書や自己啓発書がお好きな方にとって驚きの内容ですので、
ぜひ最後までお読みください。
目次
①ビジネス書は出版業界の救世主?
以前から何となく聞いたことがあったのですが、
自己啓発書は不況になればなるほど売れるそうです。
冷静に考えるとそうですよね。
不況になって不安になる人が多くなれば当然、
不安を解消できるような本を読みたくなるからです。
そういった需要に応えていくということはビジネスとしては当然でしょう。
また、スマートフォンやインターネットが普及した今、
出版業界は斜陽産業とのこと。
その中で自己啓発書というのは一定の需要があり、
それが出版業界にとっては非常に助かっているとのことです。
またビジネス書や自己啓発書は買う側からすると
娯楽ではなく自己投資という扱いになりやすいので、
他のジャンルに比べると売れやすくなります。
経済の動向は常に変わるので、
短期間で次から次へと出版することも可能です。
大学教授が何年もかけて研究した内容をまとめた本よりも、
単価は安かったとしても次から次へと出版することの方が
出版社にとっては売上を立てやすいという事情があるのです。
また、ビジネス書の著者として
デビューしたいというニーズもあるので書き手に困ることもありません。
本を出版するというのは一つの肩書きのようなものなので、
何らかビジネスをされている方にとって
本の出版とはいうのは非常に魅力的と言えます。
このように、
「不況で不安を抱える読者」
「 著者としてデビューしたい書き手」
この三者が存在することで自己啓発業界、
ビジネス書業界というものは成り立っていると言えます。
②自己啓発の問題点
書きたい人は書けばいいし、
ニーズがあるからそれに応えるというのは
ビジネスの基本だと思いますが、自己啓発業界には問題もあるようです。
それは、自己啓発本の中毒になってしまうということ。
「無限の潜在能力がある」
「年収が10倍アップする」
といったキャッチコピーは高揚感があり、
一時的に前向きになることができるかもしれません。
著者の漆原さんもこのように述べています。
「やる気」「 前向き」「 ポジティブ志向」「 お金持ちになれる」「 人生の成功者になれる」…… 煽れば煽る だけ、 中毒症状に陥ってしまった読者は飛びついてきます。
もっと強い刺激の高揚がほしい、と渇望感に駆ら れた読者をカモにするうな、非常に醜悪な著者もいないわけではありません。
次々と自己啓発書や成功本に手を伸ばし、中毒患者のように弄ばれている姿は、痛々しくて見ていられなくなります。
漆原 直行. ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない (マイナビ新書) (Kindle の位置No.1820-1824). . Kindle 版.
またそのような中毒的な状態になってしまうと、
実力に見合っていない万能感に支配され、
ナルシシズムが強くなり、自己中心的になってしまう
といったことも著者の漆原さんは指摘しています。
自己啓発書がきっかけで本当に前向きになり、
実際に成果を出す人もいることと思いますが、
万能感・仮想的な有能感に支配されないようにだけ気をつける必要があります。
というのも、私たちが本当に成長したり成功するためには、
適切なフィードバックを受け取る必要があるからです。
最初の行動のきっかけとして、
自分のセルフイメージを高めることは大切だと思いますが、
その後に必要なことは現実を直視する能力です。
・ブログを立ち上げてすぐにたくさんの人に読まれることはありません。
・YOUTUBEチャンネルを作ったとしても最初の頃は全然伸びません
これら全てを私は経験しましたし、
今もまさに経験している最中ですが、
もし万能感や仮想的な有能感に支配されていたら、
こんな厳しい現実を直視することはできないでしょう。
本当に人生を長期的なスパンで見たときに大切なことは、
それ以外にありません。
③自己啓発とキリスト教
また、著者の漆原さんによれば、
自己啓発が辿り着く結論は
徹底的な自己肯定とポジティブシンキングとのことですが、
そのルーツを辿るとカルトキリスト教思想の「ニューソート」だそうです。
ニューソートとは何かと言うと、
一言で表すと「罪のないキリスト教」 となります。
※罪≒自己中心性と解釈してください。
著者によれば、
このニューソート、「そもそも『原罪』 は存在せず、あらゆる人々がキリストの力を内包している」「 人間は 宇宙と繋がっている」「 正統とされる宗教哲学は数百年もの間、あやまちを犯し続けてきた」 といった主張を 展開したので、伝統的なキリスト教会からは異端視されます。が、従来の禁欲的なキリスト教思想に疑問を抱く ようになっていた当時の思想家、労働者、 零細の農場・工場経営者といった人々に影響を与えていきます。
漆原 直行. ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない (マイナビ新書) (Kindle の位置No.483-486). . Kindle 版.
「 自ら無理だと思っていることは、絶対に実現しない( =自分が本気で実現可能だと考えていることは実現する。つまりは自分の思考が現実化していく)」「 何事も前向きに考えることで、自分が変わり、自分の置かれた環境(世界)が変わっていく」 といった、数多くの自己啓発書の根幹をなす考え方は、キリスト教、とりわけニュー ソートに源流を見ることができる、というわけです。
漆原 直行. ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない (マイナビ新書) (Kindle の位置No.562-566). . Kindle 版.
このように、
自己啓発の源流を辿っていくと、
キリスト教に行き着くようです。
このことについては
私自身がプロテスタントのキリスト教徒なので、
とても考えさせられます。
キリスト教が主張していることは、
人類最大の問題は「罪(≒自己中心性)」なので、
その罪が存在しないというニューソートの思想は真逆と言えます。
また、聖典である聖書のことを考えると、
ニューソートのキリスト教解釈はめちゃくちゃです(笑) 3歳児レベルです。
なぜ掃いて捨てられるほどの食べ物がある現代でも、
飢餓に苦しむ子供がいるのでしょうか?
なぜいじめや争いがなくならないのでしょうか?
それは私たち一人一人の心に自己中心性があるからです。
自分の成功、自分の利益、自分の快楽・・・
と頭の中が「自分・自分・自分」となる人が
増えれば増えるほどこの社会はますますカオスになるでしょう。
全ての自己啓発書が自己中心性を肯定しているわけではないかもしれませんが、
源流を辿るとニューソートになるので気をつける必要があるでしょう。
欲望を完全に否定する必要はありませんが、
それよりもオススメなのはキリスト教の伝統的な祈りです。
例えば 、
【聖フランシスコの平和の祈り】
主よ、わたしをあなたの平和の道具としてください。憎しみのある所に、愛を置かせてください。
侮辱のある所に、許しを置かせてください。
分裂のある所に、和合を置かせてください。
誤りのある所に、真実を置かせてください。
疑いのある所に、信頼を置かせてください。
絶望のある所に、希望を置かせてください。
闇のある所に、あなたの光を置かせてください。
悲しみのある所に、喜びを置かせてください。主よ、慰められるよりも慰め、理解されるより理解し、
愛されるよりも愛することを求めさせてください。
「私は金持ちになる!!」「私は成功する!!」
という祈りよりも素敵な感じがしないでしょうか?
お金持ちになりたいとか、
成功したいという気持ちそのものを否定する必要はありません。
しかし、ほどほどにして頂いた方が幸せになれるでしょうし、
あくまで結果論ですが社会的に成功もしやすくなります。
というのも、
お金は信用を数値化したものと言われますが、
欲望まみれになっている人と、
この世界を少しでも良くしようと思っている人とでは、
どちらが信頼を獲得することができるでしょうか?
言うまでもなく、後者ですよね。
全ての自己啓発が悪質だとは思いませんし、
むしろ7つの習慣などは間違いなく名著です。
また自己啓発系の情報発信者を見ていても、
大抵の場合は本当に人の幸せを想ってされている方がほとんどだと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
・自己啓発書中毒にならないように気をつけること
・特に万能感や仮想的な有能感に支配されないように気をつけること
・自己啓発書の源流はカルトキリスト教思想であるニューソートに行き着くということ
・ニューソートの思想とオリジナルのキリスト教は正反対であること
などを学んでいただきました。
今後、自己啓発書を読まれる時の参考にしていただけたら嬉しいです。
お読みいただきありがとうございました。
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