自己啓発とかで幸せになる方法はたくさんあるけど、
なんか違う感じがする。
科学的な根拠に基づいた信頼できる知識が欲しいです!
今回は慶應義塾大学教授の前野隆司先生が書かれた
「実践ポジティブ心理学 幸せのサイエンス」を読んだのでその感想を共有したいと思います。
前野先生は日本におけるポジティブ心理学の第一人者で、本も多数出版されています。どの本を読んでも、 みんなの幸せを心から願っておられるのがすごく伝わってくるいい本ばかりです。
またそれと同時に、できるだけ主観を排除し、 統計的な調査をもとに様々な提案をされているのでとても信頼できます。
そこで今回は、この本を読んで印象に残ったところをいくつかご紹介したいと思います。
・どうすれば人は幸せになれるのか?
・幸せな人にはどんな特徴があるか?
・社会全体にポジティブ心理学を応用するとどうなるか?
このようなことがわかりますのでぜひ最後までお読みください。
目次
①ポジティブな人の特徴
ポジティブ心理学の創始者でもあり、世界を代表する心理学者の一人であるマーティンセリグマン博士は、
と言います。
楽観的説明スタイルの人
良い出来事が起きた時、その原因を
✔︎ 内的(自分のおかげ)
✔︎ 永続的(ずっと続く)
✔︎ 普遍的(あらゆる場面で作用する)に捉え、
悪い出来事が起きた時、その原因を
✔︎ 外的(他人が原因)
✔︎ 一時的(今だけ)
✔︎ 限定的(今回のことだけ)に捉えます。
一方、
悲観的説明スタイルの人
良い出来事が起きた時、その原因を
✔︎ 外的(他人が原因)
✔︎ 一時的(今だけ)
✔︎ 限定的(今回のことだけ)に捉えます。
悪い出来事が起きた時、その原因を
✔︎ 内的(自分のせい)
✔︎ 永続的(ずっと続く)
✔︎ 普遍的(あらゆる場面で作用する)に捉えるんですね。
楽観的な人と悲観的な人とではこのような違いがあり、保険会社の営業マン200人を対象にアンケート調査を行ったところ、楽観度が上位の人の方が 37%も多く契約を獲得していたとのことです。
ぜひ日頃のあなたの説明スタイルを点検してみてください。
もちろん楽観的説明スタイルが絶対的にいいと断言できるわけではありません。
いいことが起きた時にいつも自分のおかげだと思っていたら、 どんどん傲慢になっていくからです。
また、悪いことが起きた時に「他人のせい」といつも思っていたら 成長しなくなるでしょう。
決してこの説明スタイルは絶対的な真実ではありませんが、
②アメリカの学生と日本の学生
本を読んでいて印象的だったところは、 帰国子女の学生が日本の大学に通っていた時のエピソードでした。
アメリカ からの帰国子女の学生に聞いた話ですが、日本の大学に入ってびっくりしたのは、周りの友人たちが 夢や目標もないまま平然と学生生活を送っていたことだそうです。
アメリカでは子どもの頃から、何のために 生きているのか、人生の意味は何なのか、と常に問われるから、夢や目標がないことが信じられなかったのだ とか。
アメリカ人にとっては、人生の意味が見つかることは、ものすごく幸せなことなの です。 何のために生きているのか、という発想はアメリカ的かもしれませんが、日本人でも、自分の本当にやりたいことや天職を見つけて「 この仕事がおもしろくてたまらない」という人 は、やはり幸せなのだと思います。
前野 隆司. 実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス (PHP新書) (Kindle の位置No.568-574). 株式会社PHP研究所. Kindle 版.
とあり、 日本の学生が夢や目標もないまま平然と学生生活を送っていたことにびっくりしたとのことです。
私自身は帰国子女ではないですがとても共感できました。
人によっては何百万円も借金を背負って大学に来ているのに、特にこれといった夢や目標もなく学生生活を送っているという状況は、世界的に見ると異常なのかもしれませんね。
そもそも、
といったその人なりの目的やゴールが先にあって、どの大学で何を学ぶかといったことはあくまで手段にすぎません。
受験という競争に勝つためだけに勉強して大学に進学しているので、
目標や夢もなくただなんとなく学生生活を送り、
そしていやいや就職活動をし、 いやいや働く・・・
このような人があまりにも多いのではないでしょうか。
日本人の幸福度や自尊感情が低いのもこういったところにあると考えています。
結局のところ、管理教育によって
「やりたくないことをやらなければならない」
というモチベーションで生きることが当たり前になっているところに、この国の閉塞感や生きづらさの原因があるのではないでしょうか。
③長続きする幸せ、短命な幸せ
私たちは何を手に入れたら幸せになることができるかということも、ポジティブ心理学では結論が出ていて、地位財(金、モノ、地位)よりも非地位財(よい環境、健康、心の幸せ)といったものの方が私たちを長期的に幸せにしてくれるようです。
地位財とは、所得、社会的地位、物的財のように、周囲との比較により満足を得るもので、長続きしない幸せ だといわれています。いわゆる「 金、モノ、地位」のことです。
(中略)
非地位財とは、健康、自主性、社会への帰属意識、良質な環境、自由、愛情といった、いわゆる「よい環境、 健康、心の幸せ」のことで、他人が持っているかどうかとは関係なく喜びが得られるものです。非地位財による幸せは長続きします。
前野 隆司. 実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス (PHP新書) (Kindle の位置No.1064-1066). 株式会社PHP研究所. Kindle 版.
良い環境や健康や心の幸せを得るためにも、ある程度のお金やモノや社会的地位は必要ですが、そればかりを追い求める人生は人を幸せにしてくれません。
最近の私にとっての最高の幸せは・・・
といったことなのですが、本当に心が深く深く満たされて、
これ以上何もいらないんじゃないか
という感覚になります。穏やかな心だと仕事もはかどりますし、人間関係も良くなります。
お金を社会的地位を求めることを否定する必要はありませんが、もっと大切なことは、
このようなことを具体的に把握しておくことです。
そうすることで金やモノや地位を際限なく求め続けるという不毛な努力から解放され、非地位財を高めることにエネルギーを注ぐことができ、 持続的な幸福感とともに人生を送ることができるでしょう。
④社会にポジティブ心理学を応用する
ポジティブ心理学の知識を応用するという話があったのですが、とても興味深かったです。
例えば、 人は上を向くと幸せになれることが分かっているので、 座ると自然と上を向くデザインのベンチを有楽町の駅前広場に設置したとのことです。
また 利他的になると幸福になることも分かっているので、ミネラルウォーターを買ったらその売り上げの一部がユニセフに寄付されるといった仕組みもポジティブ心理学の観点から見て良いとのこと。
経営学の研究の中で、「社員を幸せにしておくと生産性や創造性が上がる」という結果が続々と出ています。
前野 隆司. 実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス (PHP新書)
まさに日本が今後目指すべき方向性は、社員の幸福と生産性の追求です。人口が減少し、少子高齢化問題がある日本で大切なことは、 「いかに生産性を高めるか」です。
でなければ、多くの高齢者を少ない若者が支えるということはできないでしょう。
その鍵を握ることのは今よりも一生懸命歯を食いしばって頑張るのではなく、 一人ひとりの心の内に平安があり「幸せ」を感じていることなのです。
これはキレイゴトでもなんでもなく、研究によって導き出された客観的な結論なのです。
そういう意味で、 今後益々ポジティブ心理学は大切な学問の一分野となるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は
・アメリカ人の学生と日本人の学生の比較
・長続きする幸せを実現するにはどうすればいいか?
・地位財と非地位財について
・社会、企業にとって一人ひとりが幸せであることの必要性
このようなことを解説させていただきました。
この本一冊にかなりポジティブ心理学に関する研究が盛り込まれているので、どこを紹介しようか迷いました。
といったことが分かりますので、ぜひ一度手に取ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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