【名著解説】⑤嫌われる勇気/アドラー心理学  Part5

嫌われる勇気
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【名著解説】④嫌われる勇気/アドラー心理学 Part4
...

「嫌われる勇気」を読んだのですが、
ぜんぜん理解できませんでした!!
分かりやすく解説してください!

嫌われる勇気の解説第5弾。

いよいよ今回で最終回。

前回に引き続き
共同体感覚についても
解説しますが、

さらに一歩踏み込んで
私たちがどうあるべきか

を説明しますので
ぜひ最後までお読みください。

 

目次

 

共同体感覚を持つ方法

前回の話しの続きにもなりますが、
共同体感覚を持つ方法としてアドラーは、

アドラー先生
アドラー先生

・自己受容
・他者信頼
・他者貢献

これら3つが必要であると
言っています。

以下、詳しく解説します。

 

 

自己受容

自己受容の前に
自己肯定が分かると
理解しやすいですので先に説明します。

アドラー先生
アドラー先生

自己肯定とは、
あるがままを受け入れずに
優れた自分に無理やりなろうとすること

本当は60点なのに100点であるかのように
無理やり思い込むことが「自己肯定」

とアドラーは言っています。

自己肯定は優越コンプレックスに結びつくので
注意が必要とのこと。

 

それに対し、

アドラー先生
アドラー先生

自己受容は
あるがままの自分を受け入れ、
成長に向かって具体的な努力をできること

できない自分もあるがままに認め、
その上で自己改善をするのが
本当の自己受容。

60点を無理やり
100点と思うのではなく、
60点である自分をあるがままに認め、
その上で100点に近づくために
具体的な努力をすることが大切である

と言っています。

 

また、

アドラー先生
アドラー先生

変えられないものを認め、

変えられることについては
変える勇気を持つことでもある

とのこと。

変えられないものについては
前向きに諦めて、
変えられることについては
まずはあるがままを認めた上で
改善する態度が大切ということです。

 

 

他者信頼

信用と信頼の違いがわかると
他者信頼が分かりやすくなります。

アドラー先生
アドラー先生

条件付きで信じることが信用
無条件で信じることが信頼

このようにアドラーは言っています。

他者信頼をしていれば、

「君ならできるよ」

「今は難しくてもきっと君なら
それを乗り越えられると信じてるよ」

このように声をかける事が
「勇気づけ」であり「信頼」です。

 

逆に、

「今まで全然できてなかったんだから
 お前にできるはずがない!!」

というのは勇気くじき。

・信頼は未来を基準にしている
・信用は過去を基準にしている

のです。

 

セルフエフィカシー(自己効力感≒自信)
の研究から考えると、

言語的説得(他の人からの励まし)によって
エフィカシーが高まり、
エフィカシーが高まったから
行動に移すことができて
自分らしい人生を歩むことができると
解釈する事ができます。

誰かを心配する気持ちはあっても、
その心配を相手にぶつけることは
勇気と自信(エフィカシー)を奪うことにも
なりかねません。

過去の実績ではなく
先に無条件で信頼されるから
能力を開花させることができるのです。

例えとしては不完全かもしれませんが、
私たちは赤ちゃんの成長を
過去ではなく未来から逆算して信じているはずです。

 

「今までハイハイしかしてこなかったお前が
 2本足で立てるようになるわけがないだろう!
 現実を見ろ!現実を!!」

とは言いませんよね。

 

「今の時点ではハイハイしかできないし、
 ろくに話すこともできないけど、
 きっと君なら2本足で立って
 どんどん話せるようになると信じてるよ」

というのが前提にあるはずです。

これと同じで、

他者の過去でなく未来に焦点を当て、
無条件に信頼することで、
その人はその人らしく
成長することができるのです。

 

 

他者貢献

人は他者に貢献することで、

「ここにいていいんだ」

という感覚を強めます。

アドラー先生
アドラー先生

他者貢献を通じて、
自分の価値を受け入れることができる

とアドラーは言います。

巨万の富を得た富豪が
慈善活動をするのも、
他者貢献を通じて

「ここにいていいんだ」

という感覚を得るためであるとのこと。

確かに、社会とのつながりがなく、
貢献している感覚がないと、
孤独な感覚に人は襲われるものです。

貢献することは
自分の精神の安定にもなり、
幸せに生きる上で欠かせないものでしょう。

 

 

人生の目標

以前にもご紹介した
アドラーが提唱した
人生の目的を覚えているでしょうか?

行動面の目標
1.自立すること
2.社会と調和して暮らせること

この行動を支える心理面の目標
1.私には能力がある、という意識
2.人々はわたしの仲間である、という意識

【引用】嫌われる勇気

 

でしたが、実は、

1.自立すること
1.私には能力がある、という意識

この2つは「自己受容」に関係があり、

 

2.社会と調和して暮らせること
2.人々はわたしの仲間である、という意識

この2つは
「他者信頼」、「他者貢献」
関係があると言っています。

 

また、

・自己受容
・他者信頼
・他者貢献

人生が上手くいっている時は、
この3つは良い循環を生みます。

 

アドラー先生
アドラー先生

自分をあるがままに認め
自分らしく成長する

自分自身を信頼できるからこそ
他者を無条件に信頼できる

信頼している「仲間」である
他者にも貢献する

貢献することで
自分の価値を実感し、
ますます自己受容ができる

このような良い循環があると
アドラーは言います。

 

 

この逆の状態が、

アドラー先生
アドラー先生

劣等感や競争意識が強いことで
自分をあるがままに認めることができず、
「素晴らしい自分」 といった妄想に執着する

当然、「敵」である他者を
信頼することもできない

貢献ではなく、
承認欲求を含めた
自分の欲望を満たすために
生きることで、
ますます孤独に陥り
劣等感や競争意識をますます強めてしまう・・・

このような悪循環ができあがります。

私たちが悪い循環のライフスタイルから
良い循環のライフスタイルへと
切り替えるためには、

 

アドラー先生
アドラー先生

生きた人生の半分の時間が必要

とアドラーは言います。

アドラー先生
アドラー先生

・20年生きた人は10年
・30年生きた人は15年
・40年生きた人は20年

とのこと。

実際にどのくらいの時間が
かかるかは分かりませんが、

・自己受容
・他者信頼
・他者貢献

は幸せかつ健全に生きる上で
非常に大切なことと言えます。

人はいきなり変わることはできないので、
少しずつゆっくり時間をかけて
変化し続けることが
大切なのではないかと思います。

 

 

普通である勇気

承認欲求が強く
課題の分離ができていない人は、
人とは違った「特別な存在」になろうとします。

 

これをアドラーは

アドラー先生
アドラー先生

「安直な優越性の追求」

と呼んでいます。

つまり、他者との比較や
自分についての誇大妄想を捨てる勇気
が必要なのです。

 

先ほども説明した自己受容も、
言い換えれば、

「普通であることの勇気」

とも言えます。

 

このことに関連して、
ダニング・クルーガー効果
を紹介します。

ダニング・クルーガー効果とは
認知バイアスの一つで、
能力の低い人ほど、
自分を実際よりも
高く評価してしまうことがある

というものです。

「なぜ能力の低い人間は
 自分を素晴らしいと思い込むのか?」

ということについて
研究した結果、

能力の低い人は、
・自分の能力の不足を認識できない
・自分の能力の不十分さを認識できない
・他人の能力を正確に認識できない
・実際に訓練を積むと、自分の能力の低さを認識できる

という結論が出ています。

課題の分離ができておらず
承認欲求が強い状態だと、
他者に認めてもらおうと
特別な人間になろうとします。

その結果、
実力の伴っていない
非現実的な自信を作ってしまうです。

 

アドラー先生
アドラー先生

それをやめて
あるがままの
普通の人間であることを
認める勇気を持ちましょう・・・

これがアドラーの主張だと
解釈しております。

 

 

今この瞬間

アドラーは、

アドラー先生
アドラー先生

今この瞬間」を生きることが何よりも大切

と言います。

旅は目的地に着いた瞬間だけではなく、
その途中過程の全てが旅

一瞬一瞬の全てが旅であり、
一瞬一瞬を精一杯生きることが
人生の本質です。

私たちは、
過去も未来も生きられません。
私たちが生きられるのは
今この瞬間」だけです。

タイムマシーンで
過去に行ったとしても
未来に行ったとしても
生きられるのはその人にとっての
今この瞬間」だけです。

だから、

アドラー先生
アドラー先生

人生最大の嘘は、
今を生きていないこと。

過去や未来のことばかりを考えて、
今を一生懸命生きていないことが
最も良くありません。

極度に集中した意識状態である
フローに関する研究でも、

時間を忘れて何かに没頭すればするほど
幸福度は高いと言われています

時間を忘れる」ということが大切で、
過去も未来も忘れてしまうくらい
没頭してしまうことが
私たちの人生の答えなのです。

ただし、これは決して、
未来のゴールや目標設定することを
否定しているわけではありません。

「未来のゴールがで、
 今やっていることが

といった感覚になってしまうと
充実した感覚を得ることはできないと
いうことです。

私たちは今しか生きられないので、
未来の理想のために
「今」を犠牲にするような感覚では
幸せを感じることはできません。

なので、
未来の目標は仮のものとして

アドラー先生
アドラー先生

「今この瞬間を一生懸命生きる」

ことが何よりも大切だと
アドラーは言うわけです。

 

 

人生の意味

また、アドラー自身は

アドラー先生
アドラー先生

人生の意味はない

少なくとも、
一般論としていうことはできない。

と言います。

 

しかし、

アドラー先生
アドラー先生


「他者貢献」を大切にしていたら
人生で迷うことはない

とも言います。

私たちが幸せに生きるためには
共同体感覚の育成が重要であり、
その核となるのが、

貢献感

だからです。

・自分の隠れた「目的」に気づく
・劣等感を言い訳にしない
・承認欲求の否定
・課題の分離
・自己受容

などを通して
自己中心性やエゴを乗り越え
個人としての自由を確立し、
その上で他者との大きな繋がりを
いつも感じ取り、

・他者信頼
・他者貢献

を通して、

アドラー先生
アドラー先生

共同体感覚を育てなさい

とアドラーは言っているのだと思います。

 

そのためにも、

アドラー先生
アドラー先生

「他者貢献」
「今この瞬間を生きる」

というのが究極的な答えであるといいます。

今という瞬間に強烈な光が当たっていれば、
過去も未来もありません。

過去も未来もなければ、
他社との比較や承認欲求もありえません。

 

アドラー先生
アドラー先生

世界を変える方法はただ一つ。
自分を変えることだけ。

自分の生き方や在り方が
変われば世界は驚くように変わる。

アドラーはこのように言っています。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

5回にわたって、
嫌われる勇気を参考にしながら
アドラー心理学を解説しました。

過去に焦点を当てる「原因論」
を常識として生きている人にとって、
目的論」の考え方は非常に
斬新だったのではないでしょうか?

また、アドラーの指摘するように
課題の分離」という考え方を
多くの人ができていないからこそ
人間関係のトラブルは尽きないのだと思います。

特に日本人は、
「出る杭は打たれる」という
言葉に代表されるように、

・これは自分の課題
・あれは相手の課題

と自分と他人の区別を
つけらていないがために
承認欲求に苦しむ人が多いように思います。

 

また、課題の分離はシンプルですが、
ずっと意識していないと

・他人の課題に踏み込んでしまう
・自分の課題に踏み込まれてしまう

といったことになりやすいので
常に注意が必要です。

 

また、課題の分離を心理学的に言えば、

「健全な自我を確立する」

ということと解釈しています。

自分は自分らしく、
相手は相手らしく、
自由に生きるのに必須の考え方です。

 

これは、以前にも紹介した、

「自由と自由の相互承認の原則」

という哲学の長い歴史を通して
得られた結論にも合致します。

ぜひ、課題の分離を意識することで
人生の悩みの大半が解決されますように。

 

また、アドラーは

アドラー先生
アドラー先生

自由になることはあくまで出発点であり、
ゴールは「共同体感覚

だと言います。

これは非常に奥の深い言葉で
おそらく仏教における、

・悟り
・空
・無我
・縁起

といった言葉にも
繋がっていくでしょう。

嫌われる勇気が
名著であることには変わりませんが、
共同体感覚について理解するには、
別のアドラーの本や
伝統宗教などを学ぶ必要が
あるようにも感じました。

また、本当の意味での理解は
体感を通した理解です。

言葉はあくまでサポートであり、
本当の理解をするための
方向指示器にすぎないものです。

 

私もさらに言葉による学びを深めつつ、
この先の人生経験を通して
アドラーの思想を体験的にも
理解できればと思っております。

最後までお読みいただき
ありがとうございます。

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