【書評】淡々と生きる ―人生のシナリオは決まっているから 小林正観 著

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【書評】淡々と生きる ―人生のシナリオは決まっているから 小林正観 著

今回は
淡々と生きる ―人生のシナリオは決まっているから 小林正観 著

を読んだので、印象に残ったところをピックアップしながら解説して行きたいと思います。

最後までお読みいただくことで、

・不安や悩みが消える
・今この瞬間を幸せに生きられる
・苦しみのメカニズムが分かる

このようなメリットがありますので、ぜひ最後までお読みください。

 

①運命は決まっている

心理学では、

「アクセプタンス(あるがままの受容)」

をすることでストレスや不安を減らすことができる

と言われています。

しかし問題は、
実際に今この世界に起きていることに対して、

・ジャッジせず
・判断せず
・あるがままに受け入れる

というのは非常に難しいことです。

私たちは何か起きた時、

・どうしてこんなことが起きるんだ!
・なんでこうなるんだ!
・あれさえなければよかったのに!!

と起きた出来事に対して抵抗してしまうんですね。

この抵抗がなければ、私たちが苦しむことはないわけです。

しかし、実際には難しい。

このような葛藤の中で私たちは生きています。

 

そこで役立つのが、

「運命は決まっている」

という考え方。

これはキリスト教の予定説にも似ていて、

全ては私たちの智慧をはるかに超えたレベルの正確さで、
寸分の狂いもなく起きるべくして起きている・・・

という考え方です。

この考え方が絶対的に正しいかどうかということではなく、
こういった考え方もあるということなんですね。

 

小林さんはこのように述べています。

運命は決まっているとすれば、つべこべ言う必要がない。

つべこべ言う必要がないと思い定めたら、
その瞬間から、悩み苦しみはなくなります。

悩み苦しみというのは、
何かをどうしたいこうしたいと思っているから生じるので、
それを「どうでもいい」と思うことができれば、
悩み苦しみはなくなります。

「どうでもいい」と思い定めたら、人生はすごく楽になります。

【引用】淡々と生きる: ―人生のシナリオは決まっているから 小林正観 著

このように、嫌なことがあったとしても、

「どうでもいい」

とあるがままを受け入れることで悩みやストレスは大きく減ります。

例えば、

・会社が倒産した
→ これも運命だからどうでもいい
・バカにされた
→ これも運命だからどうでもいい
・会社をクビになった
→ これも運命だからどうでもいい

 

このように、
起きている全ての出来事は変えようのない
運命」によって起きているとしたら
「どうでもいい」と思うことができるようになり、抵抗しなくなるということです。

 

このように言うと、

「それって人生に対して諦めているだけじゃないですか?」

と思われた方もいるかもしれませんが、
小林さんの言う

「どうでもいい」

は決してネガティブな意味ではないんですね。

むしろ、「どうでもいい」と思えないと、

ありとあらゆることに対して、

「こんなことがあっていいはずがない!!
 ふざけるな!!」

と余計にストレスを抱えてしまいます。

そして、それが結果的に恨みや憎しみにつながったり、
過去の辛いトラウマとして固定化されてしまうわけです。

「どうでもいい」という言葉は無気力で
ネガティブなものに感じられがちですが
現実に対して抵抗したり反発することの方が余計に辛いのです。

辛い状態で現実を変えようとしても
冷静ではないので余計にうまくいかなくなるんですね。

心理学ではストレスが多くなると
視野狭窄」と呼ばれる状態に人はなり、
認知機能そのものが低下してしまうと言われています。

ようは、脳が上手く働かなくなってしまうのです。

なので、

小林正観さんの主張は
現代の心理学の観点から見ても正しいと言えます。

 

ちなみに私はキリスト教徒なので、

「全ては神のご計画」

などといった言葉に置き換えていたりします。

表現は様々あるかと思いますが、
起きてしまった現実に対して、

・反発
・抵抗

するのではなくて、

「全ては運命だ」

とあるがままを受け入れるようにしてくださいね。

 

 

②「思い」が苦しみの根源

では、そもそもなぜ私たちは現実に起きることを
ただあるがままに受け入れることができないのでしょうか?

それは、著者の小林さんによると・・・

「思い」

があるからとのこと。

思いというのは夢や希望も含まれます。

つまり、

・こうなったらいいなぁ
・こうして生きたいなぁ
・こうして欲しいなぁ

という「思い」があるから苦しむとのことです。

小林さんは、

「思いを持たない」が自分の身につくと、とても楽になります。
ところが現実は、この考え方を身につけることが難しい状況になっています。

(中略)

「自分の思いどおりになるような努力をしない人間はバカだ、クズだ。
そこで諦めてしまう人間は意気地なしで、ろくでもないやつだ」

という価値観を、社会全体の中で教え込まれたのです。

(中略)

夢や希望というのは耳には良い響きですが、よく考えてみると、
結局は「足りないこと」を言っているに過ぎないのです。

あれが足りない。これが足りない。あれをよこせ。これをよこせ」ということを夢や希望であると吹聴しています。

これを突き詰めていくと、エゴなのです。

私たちは9990の喜びを宇宙から頂いているのに、 足りない10個を挙げて、それを「よこせ、よこせ」と言っているのです。

「その10個を手にいれたら幸せだ。手に入らなかったら、不幸だ」と。

【引用】淡々と生きる: ―人生のシナリオは決まっているから 小林正観 著

と述べています。

夢や希望を描けば描くほど
現実とのギャップが大きくなり
苦しみはどんどん大きくなってしまうのです。

・こうなって欲しい
・ああなって欲しい 

という夢や希望にはネガティブな面もあるということなんですね。

 

ここまでお読みいただくと、

「コーチングではゴール設定が大切と言っていたじゃないですか!!?
 前に言っていたことと矛盾しませんか?」

と思われた方いるかもしれません。

それに対しては、私は小林さんと違う意見を持っています。

 

小林さんは一貫して

夢や希望といった「思い」を一切持たずに、
あるがままに委ねていきましょう・・・・

という立場なのですが、私は違う考えです。

まずはあるがままを受け入れ、
ストレスを最小化することは大切だと思います。

しかし、その後で自分の夢や目標に向かって生きていただきたいと思っています。

なぜなら、
人生には対立する概念というものが必ず存在するからです。

 

今回で言えば、

・夢、希望といった「思い」を手放すべきだ
・ゴール設定で夢、希望といった「思い」を明確にしましょう

これら2つの言葉は明らかに矛盾します。

しかし大切なことは、

片方が正しくて片方が間違っているという考えではなく、
矛盾する考え方を統合することです。

 

例えば、

・優しさが大事です
・厳しさが大事です

となったとき、

「じゃあ私は厳しさだけで生きます!!」

という人はいませんね?

あるときは厳しさで生き、
あるときは優しさでき生きると思います。

それと同じように、

あるときは「思い」を徹底的に手放し、
あるときは「思い」を確実に実現していく

といった状態が矛盾を統合した生き方なのです。

 

私と小林さんの考え方は違う面もありますが、
とにかく小林さんから学べることは、
「思い」を持つことの危険性です。

一般的に夢や希望といった
思い」を持つことは大切と言われるので、
その副作用をしっかりと説明して下さっている小林さんは
貴重な存在だと思っています。

 

 

③親が子どもにしてあげられること

最後に手塚治虫のエピソードを例に、
親子関係に関して鋭い記述があったので共有します。

 

手塚治虫は26歳の時、母親に相談をした。

「いま僕は、月刊の連載を六本抱えている。
さらに、1日おきに当直がある。医学の方も忙しい。
ここまで忙しいと、医学を取るか、漫画家の道を取るか、どちらか選ぶしかなくなってきた。
時間的に忙しくて、両方はできない。
お母さんは、僕がどっちをやった方がいいと思う?

(中略)

母親はこう言った、

「あなたはどちらを選びたいの?」

と。

「医者の方がいいんじゃないの」とか、
「漫画家の方がいいんじゃないの」とは言わなかった。

 

手塚治虫は、

「僕は漫画家の方をやりたい。医者は世の中にたくさんいるけど、漫画家はそんなにいない。
だから、これから漫画を描いて生活をしていきたい

と答えた。

すると母親が、

「あなたが漫画家を選ぶのだったら、私はずーっと応援します。あなたがどちらを選ぼうとも、私はずーっとあなたの味方です」

と言った。

これが本当の親の愛情です。自分の思いを押し付けるのではなくて、

「あなたがどちらを選ぼうとも、私はずーっとあなたの味方です」

と言ってやるのが、正しい親の愛情です。

【引用】淡々と生きる: ―人生のシナリオは決まっているから 小林正観 著

とあります。

 

普通の親だったら、子どもが医者だと世間体もいいので、

「医者になれ!!」

と言うことが多いでしょう。

また、
「あなたはどうしたいの?」

と子どもの主体性を尊重するのではなく、

・もっとこうしなさい
・もっとああしなさい
・こっちの道はよくない
・こっちの道に行くべきだ

などと子どもの自由を踏みにじろうとします。

もっとひどいケースでは、わめき散らしたり、
子どもの意見を徹底的に否定することで
自分の「思う」道に進ませようとします。

これは愛情のようで愛情ではないんですね。

ただ親が子どもを「思い通り」に
コントロールしようとしているにすぎません。

人格的に未熟で親自身が主体性を確立できていない場合、
このような接し方になってしまうのです。

日本の学校教育が主体性を積み、
コントロールしやすい労働者を育成する機関なので
構造的な要因もあるでしょう。

しかし、私たちが健康的な人間関係でいられるのは、

「自由をお互いに尊重できているとき」

だけです。

自分の「思い」を手放し、
相手の「思い」を尊重し合える状態
理想的な関係といえるでしょう。

子どものいる方もそうでない方も、
自由を尊重し合えるような素晴らしい人間関係
大切にしていただければ幸いです。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

実はこの本は小林正観さんの遺作です。

読んでいると、
小林さんがご自身の命に対してさえも、

「全ては運命だ」
「どうでもいい」

と前向きにあるがままを受け入れられているのがとても伝わってきます。

ある意味で小林さんは「悟りの境地」におられたのだと思います。

新興宗教の成り立ちの話など、
少し怪しい感じのエピソードも盛り込まれていますが、
心穏やかに幸せに生きるためのヒントが盛り込まれている本ですので
ぜひ一度手に取ってみてください。

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

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