【解説】ずるい考え方 ゼロから始めるラテラルシンキング入門 木村尚義 著

書評・映画
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クリエイティブになりたいっす!
どうすればクリエティブで斬新なアイディアを思いつくことができるのでしょうか!?

 

今回は「ずるい考え方 ゼロから始めるラテラルシンキング入門」を読んだので簡単な解説と感想を共有したいと思います。

・クリエイティビティ、創造性を高めたい方
・AIの普及で仕事がなくなるのではと不安がある方
・一生成長し続けたい方
・固定観念から解放されたい方

にオススメの内容です。

思考が柔軟になりますのでぜひ最後までお読みください。

 

 

目次

 

 

 

①ロジカルシンキングとラテラルシンキング

まず、タイトルにある「ずるい考え方」とはラテラルシンキングのことです。

ラテラルシンキングとは何かと言うと

・思考を広げるための思考
・常識を疑う思考
・前提そのものをひっくり返す思考
・直感的で自由な思考
・アイディアを生み出すための思考

のことを言います。

その反対がロジカルシンキング。

ロジカルシンキングは、

・一つの前提から論理的に答えを導き出す思考
・A→B→Cといった思考
・現実的な思考
・常識的な思考

となります。

 

表にすると、このような感じ。

ラテラルシンキングロジカルシンキング
 目的思考の幅を広げる論理的に解答を導き出す
(A→B→C)
思考の
方向性
水平思考、本質的、可能性を広げる
抽象化する
ひとつの前提から深く掘り下げる
具体的に考える
解答無数の解答がある基本的にはひとつ
考え方自由、直感
前提を疑う、非現実的でもOK
常識的・経験的

【参考】ずるい考え方 ゼロから始めるラテラルシンキング入門

 

ロジカルシンキングとラテラルシンキングはどちらがいいと言うものではありません。どちらも必要な考え方であり、両方を組み合わせることが大切です。

ラテラルシンキングでアイディアを横に広げ
ロジカルシンキングでその一つを深掘りするようなイメージです。

例えば、会社で何か新しい企画を考えるときはラテラルシンキング。
実現可能性は無視して「面白そうだ!」と思うものを直感的に考えることで柔軟で斬新なアイディアが出てきます。

そして、いくつかアイディアが出たら、ロジカルシンキングで現実的に考えていくといった感じです。

 

 

 

②ラテラルシンキングの例

ラテラルシンキングの例はたくさんあります。

例えば、バケツを持って湖に行き、水を定期的に汲んで家まで運ばなければならない状況があるとします。

その場合、ロジカルシンキングではバケツを一つだけでなく、両手で二つ持てば2倍汲めると考えます。さらに人を5人10人と雇えば、水を汲む量は5倍10倍となるといった思考法です。

一方、ラテラルシンキングでは、バケツで水を汲まなければならない」という前提を疑います。そもそもの目的は湖の水を家に持ってくることなので、

「それだったらパイプを通せば解決するじゃないか!」

というのがラテラルシンキング。またパイプを通すことが唯一の答えではありません。

・湖の近くに引っ越す
・サイボーグ化して水のいらない体になる
・アマゾンの定期便でミネラルウォーターを届けてもらう
・貯水タンクを作って雨水を貯めておく

などなど、実現できるかは別として様々な方法があります。

 

 

また別の例では、働き方も考えられます。

就職活動をしている大学生が考えることは

「どうすればいい会社に就職できるか?」

であり、そのために、

・たくさん会社を受ける
・見栄えのいいスーツを着る
・面接対策をする

などをするでしょう。これは典型的なロジカルシンキング。

 

 

それに対し、ラテラルシンキングでは、

「そもそも就職以外の道もあるのでは?」

「そもそも働くことの本質は価値を生むこと。
 価値を生みさえすれば別になんでもいいのでは?」

と前提を疑い、

そして、

・フリーランス
・会社経営
・投資家

などの道を考えます。

 

 

また、別の例を出すと、

長時間働かせれば業績が良くなる!

と信じている経営者は、
少しでも長い時間、残業代を払ってでも従業員さんに働いてもらおうとします。
これもひとつのロジカルシンキング。

 

一方、ラテラルシンキングでは、

「そもそも長時間労働で業績が良くなるのか?」
「業績と労働時間は比例するのか?」
「そもそも従業員を雇う必要はあるのか?」
「全て自動化して自分1人の方がいいのではないか?」

と前提を疑います。

 

そして、

・生産性を高める
・週休3日制にする
・時間給ではなく成果給にする
・労働時間が短い方が報酬が高い
・AIとロボットによって働かなくても価値を生むようにする

などといった仕組みを作るようになるかもしれません。

 

 

 

③ラテラルシンキングの問題点

いくつか例を見てきましたが、

ラテラルシンキングだけではアイディアが具体的な形になりません

アイディアだけは素晴らしくても、それを形にするための具体的な道筋を整えるためにはロジカルシンキングが必要なのです。

なので、ラテラルシンキングだけでロジカルシンキングがなければ、ただカオスな状態となってしまいます。何もルールや規制がない分、自由な感覚はありますが、秩序がないので安定感がありません。

確かにラテラルシンキングは斬新なアイディアを生み出し、大幅な効率化などを実現できるきっかけとなることはあり得ます。しかし、ロジカルシンキングがなければいつもどこかフワフワしていて、頼りのない感じとなってしまうのです。

 

 

 

④ロジカルシンキングの問題点

ロジカルシンキングはフワフワとしたアイディアを具体的な形にするのに非常に長けています。

「A→B→C→D」といったように、誰もが納得できる内容で、解答も基本的には一つに絞られます。

しかし、ロジカルシンキングばかりでは窮屈な世界となるでしょう。なぜなら、ロジカルシンキングでの答えは基本的に1つで、それ以外は不正解となるからです。

このような答えは「常識」という形で私たちの心を縛りつけます。

 

・普通、働くことは苦しいもの
・毎日平日は8時間働かなければならない
・学校に行かなければならない
・結婚しなければならない
・社会人として〜〜は当然
・男はこうあるべきだ
・女はこうあるべきだ

などは、基本的にロジカルシンキングによって生み出されるものです。

このような考え方はどこからやってくるかというと、おそらく学校教育なんですね。
基本的に一つの正しい答えがあり、それに辿り着くと合格で、たどり着けなければ不合格です。

もちろんそれはそれで大切な能力ですが、それが行き過ぎると苦しくなります。

 

 

また、社会に出て「唯一正しい答え」などというものは存在しません。

・会社を辞めて起業した方がいいのか?
・A社とB社、どっちに就職すべきか?
・この人と結婚した方がいいのかそうでないのか?

など全ては「可能性の世界」なのでわかるわけがありません。

 

答えのない可能性の世界で、ロジカルシンキングだけで解決まで辿り着くことはできないのです。

また、今後AIが発達すればするほど、ロジカルシンキングよりもラテラルシンキングの重要性が増してくるでしょう。なぜなら、「今のところ」AIが得意とするのはロジカルシンキングだからです。

「A→B→C→D」といった分かりやすい論理の仕事はAIによって置きかわります

これはネガティブな意味で言っているのではなく、人類が単純作業の繰り返しの労働から解放されて、自由に近づいているということです。

楽しいアイディアをイメージすることは人間の役割で、それを具体的な形に落とし込むのはコンピューターの役割となる日が来るのかもしれませんね。

 

 

 

⑤ラテラルシンキングを高めるエクササイズ

最後にラテラルシンキングの能力を高めるエクササイズを紹介します。

本書には数多くの方法が書かれていましたが、その中でも「抽象化」のエクササイズを解説します。

 

やり方はたった3ステップで、

「対象の特定 → 抽象化 → 具体化」

基本的にこれだけで、
抽象化するというのは「本質・機能・目的・役割」は何か?と考えることです。

例えば、

・馬車 → 速く移動するためのもの → 車、飛行機

・馬車 → 楽しむもの、エンタメ → 映画、コンサート、ゲーム

・ボールペン → 書くもの → 鉛筆、クレヨン、クーピー

・お酒 → みんなで楽しい時間を過ごすもの → ゲーム、話す

・就職 → お金を稼ぐ → パチンコ?、宝くじ、フリーランス

・柔らかい布 → 包むもの → 新聞紙、広告

・お金 → 価値と価値を交換する道具 → 仮想通貨、電子マネー

・テレビ → 暇つぶし → 散歩、ゲーム、インターネット


このように「本質・機能・目的・役割」と同じ働きができれば、
他の手段に置き換えることができるわけです。

 

また、一つの対象の使い道をたくさん思いつくというもの有効です。

・新聞紙 → 包む → お皿を包む

・新聞紙 → 燃料 → BBQの着火剤

・新聞紙 → 情報 → 読む

・新聞紙 → 武器 → ゴキブリ退治

・新聞紙 → 着る → 服にする

・新聞紙 → 容器 → ゴミ箱にする

このように抽象化することで、ひとつのものを様々な用途に使うことができます。

この考え方をビジネスの現場で応用することで、

斬新で楽しいものを生み出せたり、コストをカットすることができるようになるでしょう。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

ラテラルシンキングとロジカルシンキングは全く異なるものですが、対立するのではなく、補い合うことができるものです。

ラテラルシンキングでアイディアを横に大きく広げ、
ロジカルシンキングで一つを深掘りしていく・・・・

このようなイメージを持っていただくことで、斬新なアイディアを具体的な形に落とし込み、この世界に新たな価値を生み出すことができるようになるでしょう。

 

ぜひ、参考にしていただけたら嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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